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プリンス×プリンセス

第35章 噴水の前での約束

ジュークが扉を開けると、シルフィが頭を下げる。

「ええ。何かしら?」

「お洋服の仮縫いが出来上がった様です。最終チェックをお願いします」

「はい。ディオ、ごめんなさい」

立ち上がり頭を下げるティアナへ、すげなく返事をする。

「構わない」

構わず紅茶を口にするディオチェスターへ、寂しげな笑みをこぼすと、ティアナは自室へ戻っていった。

執務室には、ディオチェスターとジュークのみが残される。

二人だけの静寂な空間を断ち切ったのは、ディオチェスターだった。

「…ジューク」

呼び掛けただけなのに。

ジュークは目を細めると、口元に笑みを浮かべた。

「はい、調べさせます」

ディオチェスターはソファーに凭れると、ひじ掛けで頬杖をついてジュークを見上げる。

「話が早いな」

ほめる訳ではなく、探るような目を向けるディオチェスターに

「あなたの考えは心得ておりますので」

ジュークはそう言って、 にっこりと……

いつもの、仕事用の笑みを浮かべた。

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