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プリンス×プリンセス

第36章 企み

自分の定位置の椅子に腰掛けたディオチェスターが、くくっと意地悪く笑った。

「単純な女で助かった」

こぼした言葉がジュークの心に引っ掛かって…

「それは言葉が過ぎます」

勢いで言ってしまえば、ディオチェスターが意外そうな表情を浮かべた。

「何か間違っているか?」

「いえ…」

間違いなどない。

それはジュークも理解している。

けれど…理解と感情は違う。

「ですが、少なくとも…ティアナ様は楽しみにしておられます」

シエンタ王女と会うのを楽しみに笑顔を浮かべていた。

あの笑顔が、当日どうなってしまうのか。

「出来る事ならば、穏便に済ませた方が…」

「お前も甘くなったな」

ピシャリと打ち付けられたかのように、ジュークは言葉を止めた。

そんなジュークを、ディオチェスターは値踏みをするかのように見ると

「だからこそ、早く決着をつけた方がいいと思わないか?」

そう言って、ニヤリと笑った。

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