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プリンス×プリンセス

第39章 気持ちが悪い

「貴方は…テリオスを好いてくれたのではなかったの…?」

震える声で訊ねる姉上に

「まさか!!」

シエンタは間髪入れずに答えた。

「目的があったからよ!じゃなきゃこんな男…っ!!」

シエンタは言葉を詰まらせると、自分の肩を抱き締めた。

「側にいるだけで気持ち悪かったわ!」

その言葉が、ぐさりと胸に刺さった。

「シエンタ様」

ジュークに抑えられたまま、アリオンが制する。

「だって…仕方ないじゃない」

アリオンの呼び掛けに、シエンタは苦虫を噛み潰したように顔を歪めた。

「私はアリオンが好きなの」

はっきりそう告げると、自分の肩を抱く手に力を込めた。

「好きでもない男に触られても、気持ち悪いだけなの! 」

そういえば。

俺が頭を撫でたりしても、シエンタはいつも肩を震わせていた。

緊張してたのかと思っていたのに…違ったのか。

何か、物凄く納得がいった。

そのせいだろうか?

俺の心に広がっていたのは、シエンタに騙されていた悲しみじゃなくて…

シエンタに辛い思いをさせてしまった憐れみだった。

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