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プリンス×プリンセス

第45章 痕跡

ティアナ様がご懐妊された。

それ以来、城で働いている者の意欲が妙に高まっているのを感じている。

今までも、皆がティアナ様を好意的に思って接していたのは間違いない。

何せ、あの人嫌いな王子が選んだお人だ。

やっとお妃になる方が見つかったと安堵した者も多かったはず。

だからこそ、だ。

子を成したならば、その子供がいずれは王、もしくは女王になる。

ずっと後継者を願い続けてきた。

そしてその願いが叶えられて…

目を閉じて、深く息を吐く。

テリオス様がシエンタ様を連れて来訪した、あの日。

主治医から受胎の告知をされて。

ご気分が優れないからか、青白い顔色のまま、俺の顔を見たティアナ様は…

喜ばない訳がない。

そのはず…なのに。

眉を下げて…今にも泣き出しそうな表情を浮かべていた。

「ティアナ様…?」

俺の呼び掛けに息を飲むと、張り付けたような笑みを浮かべて、自らのお腹に手を当てて呟いた。

「そう……嬉しいわ…」


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