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プリンス×プリンセス

第7章 俺が守るから

「ディオチェスター様」

ジュークが呼び掛けて扉に向かった。

俺は急いでシャツを羽織り…

何でだろう?

あいつには怪我をしたのを見られたくなかった。

それでも少しは目に入ったのかもしれない。

「お前は…怪我をしたのか?」

そう聞かれた。

でも、返事をするつもりはない。

黙ったままの俺に、ジュークが代わって答えた。

「はい。傷の処置は終わりました」

それに対してのディオチェスター王子の返事はなく…

静かな部屋の雰囲気に堪えられなくて、噛み締めていた奥歯の力を緩めると

「…騒動を起こして悪かったな」

ディオチェスター王子に向き直り、謝った。

俺がもっと早くあの男に気付いていたら。

頭を下げると、背中の傷が痛む。

姉上を守れたけど…こんなんじゃダメだ。

「いや、それはお前の責任ではない」

俺の謝罪を、ディオチェスター王子はキッパリと否定した。

「こちらの警備体制が問題だ」

そしてジュークに向き直り

「分かっているな」

主の言葉に、ジュークは頭を下げる。

「…はい」

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