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プリンス×プリンセス

第45章 痕跡

ティアナ様が作られた時と同じように。

あの時の手順を思い出しながら、レモネードを作っていく。

砂糖の分量が適当になってしまったのが不安材料だ。

味見をしてみるが…どうなんだろう?

同じ味になったかどうか、首を捻って思案すると…

「ジューク、何をしている?」

急に声をかけられて、驚きのあまり動きが止まってしまった。

「あ…ディオチェスター様」

声の方向を向けば、ディオチェスター様が入口近くの壁に凭れて俺を見ている。

コック達のざわめきが聞こえる中、いたって平静に振る舞おうと笑みを浮かべる。

「書類に目を通していただけましたか?」

「ああ。とりあえず問題はないだろう」

良かった。

ここで何か問題点でも見つけられたら、閣議が始まるまで走り回らなければならなかった所だ。

安堵した俺とは別に、ディオチェスター様は眉を寄せる。

「だが…お前は何をしている?」

「レモネードを」

「レモネード?」

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