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プリンス×プリンセス

第45章 痕跡

ご自分だって、つわりで気分が優れないだろうに…。

ふう、と息をつくと、腕時計で時刻を確認する。

今日の予定は、午後から閣議がある。

ディオチェスター様に、午前中にその書類に目を通してもらうだけで、まだ余裕はある、か。

「仕方ありませんね」

そううそぶいて踵を返すと、行き先を変更する。

そのまま厨房へ入ると、調理場では朝食の片付けが終わった所だったようだ。

寛いだ様子のコックたちが、俺を見て驚きの表情になった。

「ジューク様、な、何でしょう?」

コック長が何かを探るような目で聞いてくる。

「いや、ちょっと器具を貸して欲しい」

「あ…はぁ。どうぞ」

叱責されるかと身構えたのに拍子抜けしたのか、コック長が息をつく。

「お手伝いしましょうか?何なら誰かに作らせますが?」

「いや、いい。一人で大丈夫だ」

にこやかに断れば、コック長は肩をすくめてコック達の所へ戻って行った。

さて、と。

この前と同じように道具を準備していく。

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