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プリンス×プリンセス

第45章 痕跡

一瞬、何を言われたのか戸惑い、疑問符だけが口を飛び出した。

しまった。

慌てて口元を押さえると、ディオチェスター様は唇を半月状に曲げて

「味をみてやる」

その笑みは、やけに挑発的で…

ショートグラスに氷を1つだけ入れてから、レモネードを注ぎ入れる。

ディオチェスター様に手渡すと、グラスの中身を透かすように見てから飲んだ。

「どう…でしょう?」

カラン…

グラスの中で氷が跳ねた。

「悪くない」

そう言って唇を指で拭い、グラスを俺に戻す。

グラスの中はきれいに飲み干されていた。

「安心しました」

ディオチェスター様の様子に笑みを浮かべて、新しいロングタイプのグラスに氷を入れていくと

「お前が持っていくのか?」

少しだけ咎められているような気がするのは…気のせいだろうか?

「はぁ…そのつもりですが?」

気付かない振りをして受け答えをすると、予想外の言葉が返ってきた。

「ならば俺が持っていこう」

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