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プリンス×プリンセス

第45章 痕跡

………は?

「ディオチェスター様が?」

「ああ」

俺の戸惑いに気付いているのかいないのか。

ディオチェスター様は目を細めると

「アイツが弱っている姿を見てやりたい」

そう言って、ククッと笑いをこぼした。

完全に面白がっている。

「あまり虐めないで下さいよ?」

「ん?」

「大切な『義弟君』なのですから」

グラスにレモネードを注ぎ入れると、トレイに乗せてディオチェスター様に差し向けた。

「分かっている」

つまらなさそうに返事をすると、ディオチェスター様はトレイを持ち去っていった。

分かってる、か。

俺の言葉の真意など、多分、ディオチェスター様は分かっていないだろう。

何だかんだでテリオス様の事を気にかけているのは間違いない。

問題は、それがどう影響するか、だ。

ため息を1つこぼすと、残ったレモネードを別のグラスに移す。

後片付けをし始めると

「ジューク様、それは私が」

コックの一人が声をかけてきた。

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