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プリンス×プリンセス

第45章 痕跡

先程のディオチェスター様の様子を思い浮かべる。

いつもと変わりない…

いや。

自分の考えを即座に否定した。

ある部分だけ、いつもとは違った。

困ったような、照れたようなあの笑みも。

どくん、どくん…

自分の考えに、考えの行きつく先に、鼓動が大きく音をたてる。

まさか、あの方と―――?

カラン…

自分の手元で思ったより大きな音がたち、驚いて目線をそちらに向ける。

あ…レモネード、か。

グラスに氷が当たったらしい。

溢さずすんだことに息をつく。

とりあえずは…だ。

考えを切り替えると、オルティアへ向き直る。

「そういう事でしたら、ディオチェスター様に進言しておきます」

「は…あの…」

「お戯れも程々にと」

わざとらしく低い声で告げると、オルティアは顔を青くした。

「いえ!あの、決してそのようなつもりでは…!」

口元を押さえ首を小さく何度も横に振る彼女に、幾ばくかの罪悪感を覚えない訳ではない。

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