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プリンス×プリンセス

第45章 痕跡

「でも統制をとっていただくのは良いことです」

勝手な動きを見せるものがいないように。

「頼りにしていますよ」

そう言ってオルティアの肩にポンと手を置けば

「お任せください」

オルティアは大きく頷くと、微笑みを浮かべた。

「では、よろしくお願いします」

念押しのように言葉を重ねて、その場を後にする。

あそこまで言っておけば、下手な詮索はされないはずだ。

夜伽の件がメイドの間で牽制材料になっているとは思わなかった。

それにしても…

もしも――俺の予想が当たっていたならば。

夜伽の相手を明らかにする訳にはいかない。

もしもそんな事になれば…

目的の部屋の扉をノックする。

すぐに中から返事があり、控えめに扉が開くと

「ジューク様…?」

シルフィが目を丸くして俺を見た。

「ティアナ様はどうされていますか?」

「あ、先程横になられて…」

「そうですか」

やはり、あまり体調が優れないのか。

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