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プリンス×プリンセス

第45章 痕跡

形だけでの参加ではなく、理解した上で、それに関しての意見を持っている。

お飾りの王子でいるつもりはない、ディオチェスター様の努力の賜だ。

こういう点など、尊敬に値する方だと思う。

だけれども…

「どうしてそちらを選んでしまうのか」

理解できない。

双子で、面差しは似ているが…それ以外はすべてが真逆な人間なのに。

すると、聞き慣れた足音と共に、ディオチェスター様が戻って来られた。

「ジューク、どうした?」

俺を見て眉をしかめたディオチェスター様に、にこりと微笑むと

「かなり深く読み込まれた様ですね」

机の上の書類をまとめながら話すと、主はため息をついた。

その姿を横目で追いながら考える。

相手はティアナ様にとって一番近い人だから。

ただでさえ体調が優れないのに、これ以上ご心労をかけるわけにはいかない。

ティアナ様に悟られないよう努めるか。

それとも距離をとるか。

「さて…どうしたものですかね?」

そう呟くと…

何故か、無意識に笑っていた。


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