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プリンス×プリンセス

第46章 マタニティーブルー

泣きじゃくりながら話す姉上に驚きながらも、何とか安心させようと言葉をかける。

「そうだよ。皆、ベビーの誕生を楽しみにしてる」

だけど…

「でも…私、赤ちゃんの保育器みたい」

「姉上…?」

保育器という言葉が、いやに冷淡に聞こえた。

そこに愛しさとか優しい想いが感じられなくて、姉上の顔をまじまじと見つめてしまう…と

「あ…」

姉上は一瞬息を飲み、それから大きくため息をついた。

「ごめん…なさい…」

「いや、いいけどさ」

その謝罪は何なんだ?

その口ぶり、俺じゃない誰かに向けられたような気がする。

じゃあ、誰に?

もしかして、お腹の子に…か?

姉上の興奮が治まったからか、波形は穏やかな形を描いている。

支障ないみたいだな。よかった。

シルフィと顔を見合わせて、お互いに力のない笑みを浮かべてしまうと

「産まれるまで…私、ずっとこんな状態なのかしら…」

姉上の、諦めに似た呟きが耳を打った…。

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