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プリンス×プリンセス

第46章 マタニティーブルー

「マタニティーブルーだと言っていたぞ」

姉上の状態をディオに相談した、第一声がこれだった。

「妊娠中にはよくあることらしい」

その言葉にカチンとする。

よくあること?

そんな簡単に済ませる問題じゃないだろ!?

「ディオから姉上に言葉をかけてやれよ!!」

するとディオは読んでいた本を音を立てて閉じた。

「言ったぞ、健やかな子を頼むと」

「違うだろ!?」

俺の言葉の意味を理解できないみたいで、眉を寄せたディオにため息が出る。

こいつは…相変わらず、人の気持ちを考えない奴だよ。

「子供じゃなく、姉上を心配しろよ!!」

そこでようやく「あぁ…」と頷いた。

やっと分かってくれたか。

「だから姉上に」

「そもそも子を設けるための婚姻だ」

優しくしてやってくれよ。

そう言おうとした口が、ディオの言葉を聞いて止まった。

……は?

こいつ、今、何て言った?

「あれはその役を果たしてくれている」

あれ、とか…役、とか。

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