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プリンス×プリンセス

第46章 マタニティーブルー

「姉上は道具じゃない!!」

「道具とは思っていない。立場の問題だ」

立場?

今更、何言ってやがる!!

怒りに任せたまま、ディオの肩に手をかける。

勢いよく背もたれに押し付けられて、驚いた表情のディオを正面から睨み付けた。

「努力をするって言ったよな!?姉上を幸せにする努力を!!」

結婚式を挙げた夜。

月明かりに照らされながら言った言葉を忘れたのかよ!!

「…確かに言ったな」

「だったら愛してやれよ!!」

妻だからとか、子供を産んでくれる人だからとかそんなんじゃなくて。

ただ純粋に、姉上を大切にしてほしいだけなんだ。

なのに、ディオは俺に押し付けられたまま…

すうっと感情が抜けたように、冷たい色の目を向けてきた。

「お前が言うのか?」

何でそんな目で見るんだよ。

その目に揺るぎそうになる自分をぐっと堪えて、ディオを見据える。

「…ああ。俺だから言うんだ」

俺たちは共犯だから。

「分かった」

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