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プリンス×プリンセス

第49章 騙しあい

その言い方と目が、別の意味を含んでる気がする。

「そうじゃなくて!!」

慌てて否定して、ジュークを窺い見る。

聞こえなかった訳はないのに、関係ないとばかりに自分の作業の手を止める気配もない。

…これくらいなら許容範囲なのか?

「無理だろ」

「何故だ?」

「シルフィがいないから、次の日の支度が出来ない」

姉上の扮装も、適当な化粧で済むなら俺一人でも出来なくはない。

国にいたときはそれで乗りきってきたんだし。

だけど、こんなにたくさんのメディアが集まって、中継や写真を撮られるなら、隙のない格好をしていなければならない。

どうしたって、誰かの手を借りなければ無理だ。

すると、ディオは唇を曲げて、面白がっているのが分かる声で言った。

「何なら手伝ってやるぞ?」

は?

「ディオが!?」

お前に何が出来るって言うんだよ!?

目を丸くした俺の後ろから

「ご冗談を」

ジュークが、やけに冷たい声で意見した。

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