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プリンス×プリンセス

第49章 騙しあい

その手の力強さが、しっかりしろと警告されているような気がする。

息を吐き、背筋を伸ばした。

「これは遅れまして申し訳ありません。妻のティアナです」

「初めまして。ティアナでございます」

軽く会釈をすると、国王は俺の腹の部分を無遠慮に見た。

「道中、体に差し障りはなかったかな?」

心配してくれているんだ…とは思う。

「はい。お気遣いありがとうございます」

「いや、そうかね」

にこやかに返すと、それ以上の追求もなくて、それが逆に不自然に思えた。

あれだけじっくりと見ていたから、てっきりベビーの話でも振られるかと思っていたのにな。

「会が始まるまでにはまだ間がある。ゆっくりとくつろいでおくれ」

「はい」

「ではまた後程語らおう」

そう言ってディオに頷きを送ると、それが合図だったのか、国王は踵を返して部屋から出ていこうとする。

「はい。喜んで」

急いで国王の背中に声をかければ、扉から出ていく際に片手を上げて応えてくれた。

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