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プリンス×プリンセス

第49章 騙しあい

パタンと音を立ててドアが閉まり、思わず安堵の息をこぼす。

短い時間だったけど、それでもやっぱり緊張するのには変わりがない。

「割に近い距離で話したのに、気付かないもんだな」

緊張をほぐすために軽口を叩いたのに、ディオの返事は素っ気なかった。

「それだけ奴が間抜けだと言う事だ」

馴れ合う気は全くないらしい。

まぁ、歓迎されてないのは分かってるけどさ。

すると、ジュークがディオに声をかけた。

「私は今後の打ち合わせをして参ります」

「分かった」

「ついでに車から何かお持ちしましょうか?」

「いい。それを見られて揉めるのも面倒だ」

ディオの返事に、ジュークは小さく笑いをこぼすと、頭を下げて

「かしこまりました。では」

一瞬、俺を見たような気もした。

だけど、特に何か言うのでもなく部屋を出ていっ
た。

…何だ?

ジュークの行動に首をひねってドアを見続けていたら

「こっちへ来い」

突然、ディオに腕を引かれた。

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