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プリンス×プリンセス

第50章 尊い人

分かったつもりだった。

事前に話も聞いていたし、理解もしていた…つもりだった。

だけど、実際。

頭で分かってる事と、体感した時では、受け止め方が全然違う。

それが…よく、分かった。


パーティは大盛況だった。

招待客の数も多いし、ビュッフェスタイルの料理もそれに合わせてかとてつもない量だ。

だけど、さ。

警戒してなのか、ディオは料理に手をつけようともしない。

伴侶がそうなんだから、俺が食べるわけにもいかず…

「ごめんなさい。最近すぐに満たされてしまうので」

適当な嘘をつきながら、空腹に耐えていた。

しばらくすると、音楽が流れてきて…

「ワルツか」

音楽を聴き、ディオがため息をつく。

…って事は、だ。

「ディオチェスター様」

呼び掛けられてその方向を向けば、赤い口紅をごってりと塗り込んだ女が、うふふと笑いながら

「よろしければお相手をお願いできません?」

自ら手の甲を向けて腕を伸ばしてきた。


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