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プリンス×プリンセス

第50章 尊い人

あーあ。やっぱり来たか。

予想通りの展開に、思わず笑ってしまう。

すると、女が手を差し出したまま俺を見た。

「奥方様、よろしいですか?」

「ええ。私は踊れませんので」

お腹に手を当てれば、女は『そうよね』と言わんばかりの笑みを浮かべてディオに視線を向けた。

「どうぞ楽しんでいらして?」

そう言って笑みを浮かべてディオを見れば、ディオも諦めに似た笑みを浮かべて女の手をとった。

「では、参りましょうか」

「はい!」

浮き足立った女に連れられて、広間へ向かうディオの後ろ姿を眺める。

本当に…予想通り。

『ティアナ』が妊娠しているのは周知されている。

だから、今回ディオのダンスパートナーはいない。

争奪戦になるんじゃないのか?なんて軽口を叩いたんだよな。

壁際に並べられた椅子に腰掛けて、広間で始まったダンスを何となく眺めた。

人影に紛れながらも、時々ディオの姿が見え隠れする。

やっぱり目立つよな…

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