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プリンス×プリンセス

第51章 微笑み

「よろしいですか?」

男の声で話しかけられて、心の中でため息をつく。

はぁ…またかよ。

姉上に成り代わって話をするのも、なるべくならあまりしたくはないのに。

だけど、内心を悟られないように笑顔を浮かべる。

そして相手の顔を見て…拍子抜けした。

「ジューク。…どうかしたのか…しら?」

普段通りに喋ろうとして、とっさに言葉尻だけ変えた。

あぶない。姉上のフリをするのを忘れていた!!

ジュークは、そんな俺に気付いているんだろう。

少し笑いを浮かべながら、俺にお伺いをたてた。

「ティアナ様にご挨拶されたいとの申し出がありましたが…如何致しましょう?」

へ?

そんな馬鹿な。

「私だけ…ですか?ディオは…?」

俺…じゃなくて、姉上に挨拶をしたい?

ディオがいるなら分かるのに…姉上だけ、なんて…

何かの企みでもあるのかと身構えてしまう。

するとジュークがクスリと笑った。

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