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プリンス×プリンセス

第51章 微笑み

「それがもうお帰りになるとの事で。お時間があまり無いようなのです」

だから警戒しなくても大丈夫だと言われているようで、顔が熱くなる。

控えの間での事を考えたら、気を抜くなんて出来ないと思っていた。

ちらりとフロアーを見れば、ディオはまだグレイスと踊っている。

相手に時間がないのなら、顔合わせの軽い挨拶だけで終わるだろう。

だったら、わざわざディオに戻ってきてもらう事もない…か。

「分かりました」

そう答えて立ち上がると、ジュークは右手を前に向けて

「それではこちらへ」

そして先導してくれた。

ホールから右側の、奥へ進んでいく。

こっち側…って事は、招待客ではない人なんだな。

俺たちゲストは、ホールから向かって左側の部屋を控えの間として提供された。

反対側は身内に近い人たちが使っているはず。

「どなたなのです?」

前を歩く背中に問いかければ、振り向くこともなく答えられた。

「キサンタンガムの国王の孫娘、レジアス様です」

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