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プリンス×プリンセス

第51章 微笑み

ジュークはゆっくりと振り向いた。

「まだいらっしゃらないようです」

「は?」

…何が?

「レジアス様です」

てっきり犯人の話をしていると思い込んでいたのに、思いっきり外された。

今の状況についていけなくてポカンとしていると

「伺って参りますので、こちらでお待ち下さい」

そんな言葉と共に、階段の踊り場近くのソファーを薦められる。

俺を残し、廊下を奥へ進んで行きそうなジュークを引き留めたくて、迷いながらも声をかけた。

「ジューク…あの…」

レジアスに会うためにここに来たのには間違いないんだけど。

でも、今の俺にとっては、レジアスと会うより、ジュークと話がしたいのが本音だ。

だけど…どう言えばいい?

ジュークは肩越しに俺を見て…フッと笑った。

「続きは後ほど」

それだけを言い残して、レジアスを捜すために奥へ向かっていった。

そして、俺は一人でソファーに座ることになり…

待っている間、ずっとジュークの事を考えていた。

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