テキストサイズ

プリンス×プリンセス

第52章 信じる力

「大丈夫よ。気にしないで」

「でしたら…私がお連れ致します」

え!?

突然の申し出に、驚いてジュークを見上げると

「それも執事の役目です」

そう言って…柔らかく笑った。

「そんな…大丈夫よ?」

やんわりと断ったのに、ジュークは首を横に振ると、ディオへ声をかけた。

「よろしいですか?」

「頼む」

「はい、かしこまりました」

仰々しく頭を下げる彼が、まるで芝居をしているかのように見えてしまう。

それくらい現実感がなくて…何処かよそよそしくすら感じた。

「では参りましょう」

ジュークに連れられて部屋を出ようとすると、ディオとテリオスが声をかけてくれる。

「ゆっくり休め」

「姉上。何かあればすぐに言ってくれよ?」

「はい。ディオ、テリオス、お休みなさい」

扉が閉まるまで、テリオスの心配そうな顔を見つめて…

廊下に出た途端に、ブルッと身震いした。

思わず自分の肩を抱き締める。

大丈夫…大丈夫よ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ