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プリンス×プリンセス

第53章 トラウマ

パタンと静かな音をたてて閉じられた扉を見ながら、不安が胸をよぎった。

「姉上…大丈夫かな…」

大丈夫だよな、って信じたくてつい言葉にしたのに、ディオはため息をついた。

「またティアナの心配か」

切り捨てるような言い方にカチンとする。

「悪いか!?」

俺が姉上の心配をするのがどうして気に入らないんだよ!!

つい喧嘩腰で噛みついてしまうと

「この場合は『悪い』だな」

「な…っ!!」

いつもなら、さらにため息をついて、あきれ顔を見せるのに。

珍しくまともに言い返されて…うまく言葉が出てこない。

「自分で歩いて行ったんだ。問題ないだろう」

「それは…そうだけど…」

「ジュークも付いている」

だから何の心配もいらないだろう?

そう語るような眼差しを向けられる。

…くそっ!!

理詰めで言われてしまうと、自分が道化のようで落ち込みそうになる。

「あぁもう…分かったよ!!」

唇を曲げると、ディオがショットグラスに口をつけた。

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