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プリンス×プリンセス

第53章 トラウマ

そんな姿もいちいち絵になってる。

全く…神様は不公平だ!

ふて腐れて、ショットグラスの中の蒸留酒を一息に呑むと、ソファーに体を投げ込んだ。

柔らかく受け止めるソファーに背中を預けて、深く座り込む。

そんな俺を見て、ディオは酒瓶を手に取ると

「お前は分かってない」

「は…?」

聞き返すと、ディオは酒瓶の注ぎ口を俺に向けた。

眉を寄せて…グラスを差し出せば

「人の心配より自分を労れ」

え…?

「お前は大丈夫なのか?」

「ディオ…」

俺を心配してくれてるのか?

「俺は…平気だ」

コポコポと音をたてて、ショットグラスが透明な液体で満たされていく。

「怪我も本当に大したことないし。ほら」

グラスを持った手と反対側ー左腕―の擦り傷を見せると、ディオは眉をピクリと動かした。

「体はそうかもしれないが…」

そう言いながら酒瓶をテーブルに戻すと、自分の左胸に手を当てた。

「心はどうだ?」

「心…?」

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