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プリンス×プリンセス

第53章 トラウマ

単純だな。

本当にそれで思い通りにいくと思っているのか…

けれど、まぁ…いい。

この単純さがありがたくもある。

「所で…ジュリアはどうだった?」

突然話が変わり、ジュークは眉をひそめた。

「ジュリア様…あぁ、はい」

キサンタンガムで、レジアスを探しに奥へ向かった。

その時に、レジアスの妹のジュリアに捕まった。

レジアスと同じ、ストレートの黒髪は胸先までの長さで艶めいている。

深紅のイブニングドレスと、同じ色の口紅に彩られた唇が、勝ち気な性格を表していた。

「お元気そうで何よりですね」

「すべてがうまくいった暁には、嫁に迎え入れる気はないか?」

何の計画性のない話に、つい鼻で笑いそうになるのを堪えた。

「ジュリア様はそんなおつもりは無いのでしょう?」

「あれの気持ちなどどうにでもなるわ」

「そうですか…考えておきます」

あまりにも楽観的な国王の言葉に、ジュークは心の澱が深くなっていくのを感じていた…

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