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プリンス×プリンセス

第53章 トラウマ

「残念でした」

「全くよ」

国王は愉しげに笑い、決意に燃える声で話す。

「だが、まだ手はある」

「ですが今回はあまりにも性急に事を運びすぎです」

「何!?」

「レジアス様…階段から突き落とした後、笑っていたそうですね」

淡々と告げれば、国王は黙り込んだ。

そんな国王に、追撃の一閃を叩き込む。

「お陰で疑われていますよ?」

「な…馬鹿な!!」

焦りの声を聞き、ため息をつく。

「暫くはおとなしくしていて下さい」

「だ…だが、今が一番のチャンスで…」

「そのせいで私が動きにくくなるのは御免です」

ピシャリと叩きつけるように言えば、国王は黙りこくってしまう。

そんな彼の様子に笑みを浮かべると

「暫く、です。また機会が廻ればその時こそ…」

「そ…そうだな。ディオチェスターの子供さえ始末できれば、あとは望み通りだ」

取りなすように明るく話す国王に、ジュークは薄く笑いを浮かべた。

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