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プリンス×プリンセス

第55章 念願の日

シルフィの言葉に、大きく息を吐いた。

姉上の部屋の扉に手を置く。

何を言ってるかは分からないけど、慌ただしい雰囲気だけは伝わってきて…

「やっぱり…入っていったら駄目だよな」

「テリオス様…」

俺を見て首を横に振るシルフィに笑いかける。

「分かってるんだけどさ」

そうぼやいて…前髪をくしゃりと握り潰した。

「近くで何か手助けしたいのに」

姉上を守りたい。

力になりたい。

そう思ったから、ここにいるのに。

実際は見守るだけで、なにもしてやれないじゃないか!

「お気持ちは分かります」

シルフィが、そっと俺の腕に手を置いた。

「ですがここは先生にお任せしましょう 」

ね、と言うように、俺を覗き込んで頷いた。

そんな仕草が姉上のようで…

「そうだな」

そう答えて…扉の横の壁にもたれ掛かる。

今更自分の部屋に戻る気にはなれなくて。

部屋に入れなくても…せめて近くにいたい。

するとシルフィも俺の横に並んだ。

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