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プリンス×プリンセス

第55章 念願の日

「シルフィ?」

「私もご一緒しても構いませんか?」

それは構わないけど…

「ただいるだけだぞ?」

それも、いつまでとも知れないのに。

でもシルフィは微笑みを浮かべて

「それでも…よろしいでしょうか?」

俺の許可なんか要らないだろう?

シルフィの気持ちに胸が温かくなる。

「ありがとう」

「私こそ…ありがとうございます」

シルフィは俺に頭を下げると、俺と同じように壁に背を向けた。

さっきと同じように、胸の前で手を合わせて何かに祈っている。

シルフィがこうしてくれてるのが、仕事の範疇を越えているように思えて…

姉上を本当に心配してくれている。

その気持ちが、嬉しくてありがたく思う。

シルフィに倣って、俺も目を閉じた。

神様でも誰でもいい。

どうか無事で産まれてきますように!!

それから時間が過ぎて…

おぎゃあ…おぎゃあ…

かすかに…泣き声が聞こえた…?

顔をあげて、周りを見回す。

「え?今…」

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