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プリンス×プリンセス

第55章 念願の日

「気を遣ってくれてありがとう」

嬉しそうに微笑む姉上に、罪悪感が立ち上がってくる。

そうじゃないんだ。

だけど…本当の気持ちは、姉上には言えない。

「まぁ、何日もかかるなら先に見るけど」

気持ちを振り切るように無理矢理笑顔を作ると

「今日、なるべく早く帰ってくるって言ってたし?それまで待とうかなって」

「え?」

「ん?」

驚きの声を上げる姉上と見つめ合う。

「ディオがそんな事を…?」

姉上が何に驚いたのか気付かないまま、受け答えを続ける。

「あ、うん。電話して聞いた」

姉上は何度か瞬きをして…

「電話…そう…」

ぼそりと呟くと、視線を泳がせた…。

「姉上?」

俺の呼び掛けに、驚いたように肩を震わせると

「ごめんなさい。少し…ぼんやりしてしまったわ」

「ごめん。疲れてるよな。少し休むか?」

「ううん。大丈夫。…ディオがお戻りになるのが楽しみだわ」

そう言って、俺を見てにっこりと微笑んだ。

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