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プリンス×プリンセス

第56章 二人の子供

他人事のような口振りに、胸がモヤッとする。

「それは…そうなのでしょうが…」

先程ディオチェスター様がこちらに向けた目は、やけに褪めた色をしていた。

自分の子供が産まれた…おめでたい話題なはずなのに。

「御子の誕生…」

本心はどうなのですか?

口にしたいが…聞ける訳がない。

そして、ディオチェスター様が話す事もないだろう。

ならば…

「おめでとうございます」

祝いの言葉を告げると、ディオチェスター様がゆっくりとこちらを向いた。

今度は足を止めて。

だから俺も足を止めて…その場で向き合った。

貴方の本心がどこを向いていようとも…

例え、ティアナ様ではない人を見ていたとしても…

「御子とティアナ様…大切になさって下さい」

すると、一瞬眉を寄せて…

「お前に言われるまでもない」

いつものように冷笑を頬に浮かべると、搭乗口へ向かって歩み出した。

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