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プリンス×プリンセス

第56章 二人の子供

ディオチェスター様は顔だけを俺へ向けて聞く。

「何だ?」

「ティアナ様もお疲れのようですし、お休みされた方が良いのでは?」

そう助言すると、ディオチェスター様は手を離した。

「済まなかったな」

「いえ…」

ティアナ様は赤く染まった頬を隠すように俯く。

つい、水を差すような真似をしてしまった。

あのまま続けられても…絵空事にしかみえなかったから…

なのに、ティアナ様は微笑んでいる。

そんなに嬉しかったのか?

そんな…偽善な言葉が…?

「ゆっくり休んでくれ」

「あの!…ディオ…」

言葉を選ぶように思いあぐねているティアナ様に、ディオチェスター様は笑みを浮かべると

「名前は?」

その問いに、ティアナ様はポカンとして…

そんな彼女に、ディオチェスター様は質問を重ねる。

「子供の。何か考えているのか?」

「いえ…そんな…」

質問の意図が分かって、ティアナ様は首を横に振る。

それはそうだろう。

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