テキストサイズ

プリンス×プリンセス

第56章 二人の子供

では…自分で気付かれた訳ではなく…

あの方の助言であの言葉を口にして…

それに対して、ティアナ様はあんなに嬉しそうな笑顔を浮かべていた…と…?

目の前を歩くディオチェスター様の背中を見つめて思う。

子供が出来たと聞いて、ある時期からティアナ様を気遣うように見受けられた。

なのに裏ではやはりあの方と繋がっていて…

子供が生まれたら、変わるかと期待していた。

それなのに…!

心の奥底に、どろりとした感情が沸き上がる。

手を握りしめて、その感情を押さえ込もうとする…と

オギャア…オギャア…

赤ん坊の泣き声が聞こえた。

「これか。…威勢のいい声だな」

「元気な証拠です」

ディオチェスター様は鼻先でフッ…と笑う。

その笑みは何なのだろう?

喜んでいる…のだろうか?

「この部屋だったな」

ドアの前で立ち止まって聞くので、俺は頷いて答える。

ドアをノックして、中を窺うと…

ストーリーメニュー

TOPTOPへ