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プリンス×プリンセス

第56章 二人の子供

この笑みは…どういう意味の笑みなんだろう?

子供の顔を見れば、ディオチェスター様の気持ちが見えてくるかと思っていたのだが…

ディオチェスター様の傍で、嬉しそうに赤子の様子などを語るオルティアに視線を移す。

やはり…他の者がいる前では無理か。

「では、御子のお世話はあなたが専任で?」

「え…いえ。乳母が正式に決まるまではメイドでシフトを決めて…になりますが」

「そうですか。メイド頭としての職務もある中で大変でしょう?」

「いえ。携われる事が幸せです」

オルティアの返答に、ディオチェスター様は口角を上げる。

でも、この笑い方は…

長年ディオチェスター様の側にいるから分かる。

喜んでいるものではない、愛想笑いでしかない事が…

「お忙しい中で申し訳ないのですが…」

そう前置きをして、オルティアに仕事の指示をする。

「かしこまりました。…お急ぎですか?」

「そうですね。出来れば」

「分かりました。…では、誰か他の者にお世話を…」


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