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プリンス×プリンセス

第56章 二人の子供

「でしたら…姫君らしい素敵な名前を考えなければなりませんね」

ディオチェスター様に渡そうと、腕の中で抱き直す。

「ルーミー…可愛らしい響きですから、愛称で活かせるといいですね」

「そうだな」

ディオチェスター様は渋々といった感じで答え、まじまじと御子を見ている。

「姫。お父様ですよ?」

そう声をかけて、ディオチェスター様へ渡そうとしたら

ぱちり

音がしそうなくらいの勢いで、姫君の瞼が開いた。

「え…」

姫君の瞳から目が離せない。

俺はポカンと口を開けたままで…

姫君の顔をどれだけ見続けても、先程の衝撃は収まる事はなかった。

いや…むしろ……

そんな俺を見て…なのか?

腕の中の姫君はとろけてしまいそうな微笑みを浮かべて…

どくん!!

外に聞こえているのではないかと思うほど、激しく鼓動が鳴り響く。

そして…

「そういう事、か…」

ぼそりと呟かれたディオチェスター様の声が、重くのし掛かった…



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