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プリンス×プリンセス

第56章 二人の子供

それなら…

「ディオチェスター様、どうぞ」

「何だ?」

「泣き止みましたので。抱っこしませんか?」

その提案に、ディオチェスター様は顔をしかめた。

「そんな顔をして…」

もう一度ため息をつくと、腕の中の姫君の顔を覗き込んだ。

「あなたも父親に抱っこされたいのでは?」

そう話しかけると…

涙の跡の残る目元をひくりと動かした。

「嫌がってないか?」

「そんな事ありません。…ですよね?ルーミー様」

ティアナ様がつけた名で呼ぶと

「ルーミー…か」

ディオチェスター様がその名を口の中で転がした。

「マックス…マキシマム…マキシミリオン…それならまだ…かもだか」

そして、俺の腕の中の姫君を見て、小さく笑う。

「ルーミーでは少し格が…な」

格。

ディオチェスター様らしくない。

いや、この人らしいのだろうか?

常日頃から王子らしい品格を求められて…

それをこなしてきたからこそ、思うところがあるのかもしれない。

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