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だけど…

「いえ。『してほしい』訳ではなく、『して差し上げられない』という話で」

「ん？」

首をかしげるテリオス様に、ペコリと頭を下げた。

「これから…ルークスさんと一緒に残務処理に当たったりしますので…テリオス様のお世話が行き届かないかもしれません」

本来の僕の仕事は、テリオス様が過ごしやすいよう努めることだ。

なのに、それがままならないかもしれない。

その事でテリオス様に迷惑がかかるなんて、執事失格なのに…

だけど、テリオス様は

「何だ。そんな事か」

事も無げにそう言うと、僕の肩をぽんぽんと優しく叩き

「俺は大丈夫だから。カムリは気にせず自分の仕事をしてくれよ」

そうやって、僕を労ってくれる。

主人に労われる執事って…本当はどうなんだろう？

少なくても、他の執事からはそんな話聞いた事がない。

「はい。ありがとうございます」

微笑んで…

でも少しだけ苦笑いを含んだ表情になってしまうのは…仕方ない…ですよ、ね？