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プリンス×プリンセス

第59章 沈黙の刻

「それにしても」

テリオス様は照れ隠しなのか、頭に手を当てると、やや仏頂面を浮かべて

「そんな時に…ディオは何処に行ったんだ?」

その質問に…笑みが凍ってしまう。

そんな時だから…ですよ?

「ディオチェスター様は…事故現場です」

声が固くなるのが自分でも分かる。

「遺体の確認を…」

言いかけて、はっと息を飲んだ。

「遺体…」

ポツリと繰り返すテリオス様の顔が…

ああ、ごめんなさい。

主人を不安に陥れる執事なんて、失格じゃないか!!

「テリオス様、あの…」

「二人とも…なのか…?」

「それは…まだはっきりとは…」

僕が聞いているのは、ジューク様と姫君様が乗った車が崖から落ちて水没した…それだけだ。

あの高さから落ちて助かるわけがない。

誰かが言った話を鵜呑みにしているだけで、正式に死亡発表されてはいない現状で…

「ですので、ティアナ様にはまだ何もお話しておりません」

「…え…?」


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