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プリンス×プリンセス

第63章 盗み聞き

ふう…

大きく吐いたため息は、少しだけ傾いた陽の光と共に、冷たさをはらんで消えていった。

「無事に済んだわ」

誰もいないけど…

誰もいないから、話しかける事が出来る。

庭の一角。

雑木林の手前の、今までは何もなかった場所。

そこに真四角に切り取った石を置いた。

そしてその下には…

「あなたも見ていてくれたのかしら?」

そこで眠っているであろう人に話しかける。

「二人で…仲良く見守ってくれてる…のよね?」

問い掛けても答えはない。

分かっているけど…声に出すことで気持ちが落ち着けそうで…

「私ね…ずっと考えていたの」

目を閉じれば。

頭に浮かぶのは、ジュークの姿で…

「あなたはいつからルーミーを連れ出そうと計画していたの?」

出産後にディオと一緒に見舞ってくれたとき?

それとも二人に会った後?

もしかして…産まれる前からそのつもりだったの…?

でも。

今となっては二人ともこの下で一緒にいる。

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