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プリンス×プリンセス

第63章 盗み聞き

そっと石を撫でる。

硬くて、冷たくて、ざらついていて…

ずっと撫でていたいものでは…正直、ない。

「…早すぎるわ」

生まれて1日。

ルーミーがいなくなって…それからマックスの成長を見てきた。

マックスのお陰で、悲しみに浸り込む隙も暇もなかった。

でも…

忙しさと喜びの合間に…

ルーミーの顔を、思い出せなくなっていて…

「どうしてあの日だったの?せめてもっと…思い出せるくらい、一緒にいたかったのに…」

今となってはそんな愚痴も意味を持たない。

分かっているけど…それでも…

「こんな状態なのに、私は…」

ザザァッ…

強い風が吹き、雑木林の木々の枝を鳴らす。

まるでその先を言うなと言われてるみたい。

ため息をついて、続きの言葉を胸に閉じ込めた。

かわりに

「どうか…安らかに」

震える唇を懸命に動かして、言葉を紡ぎ出す。

頭を垂れ、目を閉じて…

二人の冥福を祈った…

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