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プリンス×プリンセス

第64章 置き土産

誰かがいるなんて気付かなかった!!

「誰!?」

驚いて振り向く。

けれど、それよりも先に、相手が動いて…

「あっ!!」

肩を押され、相手と向かい合う体勢で木の幹に体を圧し付けられる。

目の前にいるのは、見たことのない男の人。

艶のある黒髪とダークカラーのスーツのせいか、白い肌がまるで白磁のようにきれいな人。

きれいすぎて、人形のようにすら思える。

「は…離して…!」

華奢な体つきなのに、私を押さえ付ける力は男の人のものだった。

「これはこれは」

男の人は私をじっくりと舐めまわすように見て

「どこのウサギかと思えば、プリンセスですか」

にったりと笑みを浮かべて話す。

「ウサギ…?」

「はい。聞き耳を立てている姿がそっくりでした」

クスクスと笑いをこぼし、楽しそうに語った。

声だけを聞いていれば、あどけない冗談の様なのに…

目が。

髪と同じ、漆黒をまとった様な瞳が、一切笑っていなくて…

怖い。

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