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プリンス×プリンセス

第64章 置き土産

ごくり。

固唾を飲んで目の前の男の人を見上げると

「そんなに怯えないで」

私を見て、嬉しそうに口角を上げる。

「本当に…ウサギみたいだなぁ」

伸ばされた指先で頬を撫でられ、ぞくりと体を震わせると

「可愛い」

そう呟きながら、私の唇に親指を押し付けてきた!

「な…っ!!」

驚きのあまり、咄嗟に手を払いのけた。

彼ははねつけられた手をじっと見つめ…

「でも…好奇心旺盛だと、捕まって…喰われますよ?」

木の幹に両手をついて私を封じ込めると、「ガブッ!!」と咬む真似をしてみせる。

「貴方は一体…」

見たことのない人だわ。

今日のパーティに招待された人…?

でも、それにしては服装がそぐわないように思う。

招待客と言うよりは…

「誰の従者ですか?」

確信をもって聞くと、彼は意外そうに眉を上げた。

「ふぅん…思ってたより肝が据わっているようだ」

そう言って、私の顔をしばらく見つめた後

「俺?俺はね、あの人の…奴隷、かな?」

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