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プリンス×プリンセス

第64章 置き土産

「何故貴様が!?」

その声にディオが老人を振り返り…

ディオの視線に、老人は自分の失態に気付いたみたい。

目を見開き、口を手で覆った。

私の背後から、大きなため息が聞こえた。

「ははっ、バレましたね」

でもその声は、楽しんでいるかのように弾んでいた。

どうして…?

彼の顔を見ようにも、押さえ付けられているから身動きできない。

それが歯痒くてたまらない。

「俺の事、調べました?」

「そうだな。…調べたのは俺ではないが」

そう答えて、ディオは薄く笑みを浮かべた。

「お前が来ているのは知っていた」

「あの人混みの中、よく気付きましたね」

「お前はジュークの母親を轢き殺した男、だからな」

え!?

さらりと告げられた言葉に目を見張った。

ディオ…今、なんて言ったの…?

ドクドクと心臓が高鳴っていく。

「あれは事故ですよ?」

悪びれるでも悔いるでもない声が後ろから聞こえて…

深く吐いた息が震える。

「そう仕立て上げたのだろう?」

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