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プリンス×プリンセス

第65章 キサンタンガムの裏側

その日の夜。

俺はディオの執務室にいた。

執務室のソファーに座り、仕事をするディオを見ていて…

全く。

こんな日なんだから、仕事なんか後回しにしてマックスのそばにいればいいのに。

肘掛けで頬杖をつきながらディオを眺め…苦笑いを浮かべる。

でも…こいつらしいよな。

「静かだな」

書類に目を落としながらディオが呟く。

確かに。

音楽もかけないから、物音とすれば、ディオが書類を捲ったり何かを書き込んだりする音しかしない。

「話したければ話しても構わないぞ?」

「仕事してんだろ?邪魔するつもりはない」

「お前の声なら邪魔にはならない」

手を止めず、目線も書類に向いたまま言われて…

不覚にも、ときめいてしまう。

…くそっ!!何だよ!!

こんなにもさらっと言われた言葉に照れてしまったのが悔しい!!

悟られないように、わざと不満げな声を出す。

「あ、そうかよ。なら言うけど」

どう話そうか頭を巡らせていて、ディオの口元に笑みが浮かんだのに気付かなかった。

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