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プリンス×プリンセス

第10章 下準備

「でもディオチェスター様はあなたにとって義兄になる訳だし、親密になるのはいいと思うわ」

取って付けたような言葉だな。

だけど、それで姉上が暮らしやすくなるのなら…

「…考えておく」

ぼそりと呟くと、姉上はもう一度新聞に目を落とした。

すると、部屋のドアがノックされた。

「はい」

返事のあとに、シルフィが顔を覗かせて

「ティアナ様、そろそろお支度を…」

「あら、もうそんな時間?」

姉上は急いで立ち上がると、机の上に新聞を置いた。

「え?どこか出掛けるのか?」

今日の予定では、外交とかは何もなかったはずだけど…?

「ええ。病院へ」

さらりと答えた姉上に、思わず詰め寄った。

「具合悪いのか?」

俺の剣幕に驚いたのか、姉上は目を見張り…そしてクスリと笑みをこぼすと

「そうではなくて、検査。結婚前に調べておきたいらしくて」

姉上は元々体が丈夫な方ではないのに、この国に来て疲れやプレッシャーが増してる気がする。

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