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プリンス×プリンセス

第72章 聞いてない!

ザザッ……

舞い上がった風が頭上の枝を揺らし、葉っぱが擦れあう。

「どういう…事、なんだ…?」

俺を見下ろすディオの瞳は、空と同じように澄んでいる。

悔いるような表情と似つかわしくないと思う程に…きれいな空色。

「同じって…」

先程のディオの言葉の意味が理解できない。

『俺のために、死んでくれないか?』

『ジュークと同じように』

…って事は、さ。

自分の想像に寒気がした。

口の中が渇いて、唾もうまく飲み込めない。

「あいつ…事故で死んだんじゃなかったのか?」

小さく聞く声が震えてしまったのは…当然だろう?

だって俺の想像通りなら、ジュークは…

ディオのために自殺した

そうとしか思えなくて。

否定しろよ!

そう思いを込めてディオを見上げれば、ディオは何故か驚いたような目をしている。

「…聞いていないのか」

「誰に!?何を!?」

「ティアナから」

は…?

「姉上…?」

意外な名に、またも理解が追い付かない。

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