テキストサイズ

プリンス×プリンセス

第74章 あなたは誰?

どうやら扉にドアチャイムが付いているみたいだ。

鈴のような軽やかな音を立てて閉まる扉を眺めていると、シルフィがため息をついた。

「どうしたんだ?」

「カムリったら、もう…ヒヤヒヤしたわ」

シルフィに睨まれて、肩をすくめる。

「じゃあ、ティアナ様だけで行かせれば良かったのか?」

そんな事になれば、ルークスさん達に何を言われるか分かったもんじゃない。

今日は正式にティアナ様の事を任されているのに、失態を晒したら…

最悪なパターンを想像して顔を曇らせたら、シルフィが首を横に振った。

「そうとは言わないけど」

「それなら正しい判断だったんだろ?」

そう言うと、シルフィは困ったように顔をしかめた。

「…違うのか?」

「違わないけど、言い方はあると思う」

「言い方…」

それって、グレイス様への…って事だろ?

何かマズイ言い方だったのか?

どの部分を言われているのか見当が付かなくて…顔が強張ってしまう。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ