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プリンス×プリンセス

第75章 Caf'e&Tea-Room・Y

足元を照らす程度の街灯。

自分たちの他に歩く人もいない。

知らない場所を、こんな時間に歩くのも久し振りで、つい周りを見回してしまう。

「疲れましたか?」

前を行くルークスが声をかけてきて、首を横に振る。

そのままフードを引き下げて、頭をすっぽりと覆う。

目的の場所にはすぐに着いてしまった。

何を話すべきか…頭がうまく働かないままで、何も思い付いてない。

でも…

「行きますか?」

ルークスの確認に、首を縦に振った。

コロンコロン…

ドアに取り付けた鈴が軽やかな音を立てる。

中では店主が片付けをしているのか、テーブルに椅子を並べていた。

「悪いね。もう閉店なんだ」

こちらを見ずに声をかけてくる。

帰れと言われているようで、何故か笑ってしまう。

「客でなければよろしいのですか?」

ルークスの問いかけにやっと手を止め、店主がこちらを見た。

日に焼けた浅黒い肌に、焦げ茶色の髪。

こちらを見る瞳は、警戒と言うより威嚇するように鋭いものだった。

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