テキストサイズ

プリンス×プリンセス

第77章 1年前の真相

涙を溜めた瞳で見つめられて。

どう言葉を紡ぐべきなのか迷い…

ふと店の奥を見れば、ルークスが耳に指を突っ込んで掻いていた。

壁だと言っていたが…

聞いてはいるが、介入する気はない、か。

助けてもらおうとは思わない。

ただ…

潮時、か。

ルークスから伝えられた、ディオチェスター様の言葉を思い返す。

キサンタンガムの国王に一矢報いた。

フェールロコノは安泰で、俺がいなくても事は済んでいる。

確かに潮時だ。

だとしたら…

「申し訳ありません」

こんな事で許されるはずはない。

頭を下げる事しか出来ない自分を不甲斐なく思う。

「あなたを苦しめたくはない」

ティアナ様を支えて差し上げたかった。

けれどそれももう無理な話だから…

「私たちは死んだものとして、もう関わらないようにしましょう」

「そんな…どうして…?」

どうして?

その理由はただ1つ。

あの子と目が合ったとき、全てを守ろうと決めたからだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ